平成28年1月~3月期の銀行による不動産向け新規融資額は、全四半期を通じて過去最高となる4兆4113億円となりました。
さらに、平成28年4月~6月期の不動産向け新規融資額でも、3兆1271億円に達し、1989年のバブル期に記録した4~6月期のピーク(2兆7679億円)を27年ぶりに更新し、不動産市場への資金流入は全く衰えるところがありません。
不動産市場へ資金が流入する要因は、
- 平成28年2月のマイナス金利政策の導入により、資金が運用難に陥ったこと
- 東京五輪の2020年開催決定による首都圏の再開発への上昇期待
が主なところですが、
具体的な融資先としては、
・不動産開発業者
・不動産投資信託(REIT)向け
・節税目的の個人向けアパート融資
が大きく伸びているようです。
この動向を見ると、日本の金融機関の体質は、バブル期と変わっていないなと思います。
バブル期に見られた現象は、
1 銀行が、融資先が無くなり困る
2 銀行が、不動産の換金価値を超える貸付を始める
3 不動産の取引価格があがる
4 不動産の評価額が上がり、担保価値が上がる
5 銀行は、担保価値が上がった不動産にさらに融資する
というまさに悪循環といえるようなものでした。
バブル期には、弱い銀行は吸収合併され、いくつかの銀行が破綻し公的管理下に置かれました
日本の銀行は、今でも担保最優先、保証人必須です。
これはこれで安全サイドにたって融資しているのかもしれませんが、バブルのような事態が起こると担保価値を妄信する体質が災いして、悪循環のウズに巻き込まれてしまいます。
バブル崩壊後にあれだけ反省したはずなのに。
バブルでないことを願いますが、もしバブルがはじけて返済不可能になった場合、
担保に入れていた物件は処分したうえで、さらに残った返済額は借り手本人から回収されます。
借り手本人は、破産する可能性が高いのです。
銀行には、借り手本人からは回収しないノーリコースローンを積極的に取り扱って欲しいなと思います。