信用保証協会の保証付き融資はしくみが複雑です。さらに自治体が関わる制度融資が加わるとより一層複雑になります。
事業借入が初めてであればなおさらどこに行っていいかもわかりにくいので、手続きの流れはよく読んでください。
- まず相談に行く先は、地方銀行か信用金庫といった民間の金融機関
- 信用保証協会には、当たり外れがある
- 自治体の「あっせん状」は、かなり時間がかかる
それでは、信用保証協会の保証付の制度融資について説明します。
平均的には、融資の実行は申込みから2ヵ月から3ヵ月後です。
1.信用金庫か地方銀行の支店を選ぶ
2.取扱銀行の窓口で相談
3.自治体に制度融資の申込み
4.自治体から「あっせん状」をもらう
5.取扱銀行に融資申込み
6.信用保証協会の書類審査
7.信用保証協会による面談
8.信用保証協会から取扱銀行へ結果通知
9.取扱銀行から申込者へ結果通知と融資実行
1.信用金庫か地方銀行の支店を選ぶ
メガバンクはどこも取り扱いしません。初っ端からめげるので、行かないでください。
ここは間違えてはいけません。
地方銀行や信用金庫でも、積極的でないところもあります。
過剰な期待はせず、事業地の近辺にある地方銀行や信用金庫に複数あたってください。
2.取扱銀行の窓口で相談
はじめから制度融資を利用したいことは伝えてください。
積極的な銀行や担当であれば、制度融資の手続について説明してくれます。
その銀行でよく手続きをしている信用保証協会についても聞いてみると良いでしょう。
原則として、事業所がある地域にある信用保証協会が取り扱うことにはなっていますが、理由があれば多少の越境は認められます。
3.自治体に制度融資の申込み
自治体への制度融資の申込みは借入する本人が行います。
取扱銀行経由ではありません。
自治体によって、経営相談員の相談がある場合とない場合があります。
東京都内であれば、“東京都”は経営相談員の相談は無く、23区の各区では、経営相談員の相談が必要です。
経営相談員の相談は、実際には指導であり経営相談員が承認しない限り「あっせん状」を受け取れません。
経営相談員の相談が必要な制度融資は、無駄に時間がかかりますからあまりお勧めしません。
4.自治体から「あっせん状」をもらう
「あっせん状」は、制度融資を受けるための証明書です。
「あっせん状」は、経営相談員の相談が必要な場合でも、時間はかかりますが最終的には出してもらえます。
経営相談員の相談が必要で、かつ借入額が大きい場合は、経営相談だけで1月から2月の時間がかかることをあらかじめ見込んでおいてください。
5.取扱銀行に融資申込み
取扱銀行所定の借入申込書、履歴事項全部証明書、定款証明、印鑑証明書など必要書類を提出します。
取扱銀行は、信用保証協会への申込みも代理しますからその書類も合わせて提出します。
必要書類については、取扱銀行から説明があります。
6.信用保証協会の書類審査
信用保証協会は、取扱銀行銀行から受け取った書類を審査します。
信用保証協会は、都道府県単位の組織でそれぞれが独自の判断で審査をします。
さらに支店によっても審査の厳しさに差があります。
創業、開業に積極的に取り組むことを制度上義務付けられていますから、審査にバラツキが大きいのは問題だと思いますが、それが実情です。
信用保証協会には、当たり外れがあることを肝に命じてください。
7.信用保証協会による面談
信用保証協会は、初回の保証では必ず面談があります。
面談は、担当者が会社に出向いて行われますが、通常は30分以内の短いものです。
基本的には、審査決定前の最終確認で面談で落されることはありません。
ただし、会社の事務所や店舗に深刻な問題がある、虚偽の内容が見つかったなど、大きな問題があれば面談で保証不可となることもあります。
8.信用保証協会から取扱銀行へ結果通知
信用保証協会は審査結果を取扱銀行に通知します。
その後、取扱銀行は行内決裁を行います。
創業、開業向けではあまり起こりませんが、信用保証協会はOKで取扱銀行でNGとなることもあります。
9.取扱銀行から申込者へ結果通知と融資実行
取扱銀行の決裁が終われば、1週間程度で借入金が振り込まれます。
取扱銀行と相談を始めてからここまで、早くても2ヵ月、遅ければ3ヵ月以上かかることもあります。
制度融資はとても複雑な手続きで、あちこち迷っている話をよく聞きます。
まずは、協力的な取扱銀行を、地方銀行や信用金庫から探してください。
経験豊富な担当者からの的確なアドバイスがあれば、レールの上を歩いていくだけですから、その方が近道です。