4 日本政策金融公庫の「新規開業資金」

「新規開業資金」は、日本政策金融公庫の創業や開業における融資制度の中では、最もスタンダードな制度です。
先に説明した「新創業融資制度」は、この「新規開業資金」の特例という位置付けです。
新規開業資金の主な特徴は、次のとおりです。

  • 無担保可
  • 保証人要(社長のみ)
  • 自己資金要件無し
  • 融資限度が普通
  • (日本政策金融公庫にしては)金利は高い

新規開業資金と新創業融資制度をまずは比較してみましょう。

新規開業資金 新創業融資制度
担保 不要 不要
個人保証 原則必要 不要
自己資金 要件無し 10分の1以上
金利 高い 最も高い
現実的な融資額 高い 低い

なお、「女性、若者/シニア起業家支援資金」、「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」についても、対象者を限定している以外は、概ね「新規開業資金」の制度と同様です。

新規開業資金では、社長の個人保証が必要になる代わりに、自己資金要件が無くなり、現実的な融資額が高くなるというメリットがあります。

現実的な融資額は、事業によりけりですが1,000万円近い高額融資も多く実行されています。
300万円程度で頭打ちとなる新創業融資制度と比べると格段に使い勝手が良いといえます。
なんといっても創業や開業の初期は資金が不足しがちですから、明らかに新規開業資金が優れています。

新規開業資金の金利は、無担保の場合2.25%(2016年7月時点)と日本政策金融公庫にしては、高い方ですが、そもそもこの金利水準でも、民間の銀行と比べて高すぎるということはありません。
自己資金の要件はありませんから、自己資金が不足している場合でも、挽回できるチャンスがあります。

新規開業資金は、社長が最終的な責任を持つ、という覚悟は必要ですが、その代わりに新創業融資制度よりも大きな融資額を有利に借りることができます。
創業や開業の初期に資金が不足すると、うまくいくはずのものがうまくいかない結果となることもあります。
社長の個人保証とそれによるメリットを天秤にかければ、社長が個人保証する方が良い選択でしょう。