自己資金の集め方は大きく分けると
自分で貯める(預金、株、投資、退職金、その他)
他から集める(親兄弟や親せきからの贈与、知人友人からの出資)
の2つです。
自分で貯めたお金については、長い説明は不要でしょうから、ここでは他から集める場合について説明します。
(1)親、兄弟姉妹、親せきからの援助
親、兄弟姉妹、親せきは、創業や開業の門出を祝って援助してくれることがあります。
その気持ちは大切にしたいですね。
しかし公庫はそれでも、借入が済んだら返すのではないか?
と疑うことがあります。
これはお金を貸す側の本能ですから仕方ありません。
親、兄弟姉妹、親せきからの援助は、次のように返すことがない資金であることを証明します。
・贈与契約書を書面で作成して、借りたお金ではなくもらったお金であることを証明
・援助した人(親、兄弟姉妹、親せき)の名前で、口座に振り込み
・援助した人は、持ち家で固定収入もありお金には困っていない、といったことの説明。
どれか一つでも欠けると、信ぴょう性が落ちてしまうので、全て説明できるようにします。
(2)友人、知人からの出資
友人や知人からの出資も自己資金となります。
出資とは、お金を会社に出してもらい、株主になってもらうことです。
出資してもらうと会社の自己資本は大きくなりますから、自分で貯めたお金と同様の効果があります。
出資の場合は、
・友人、知人との関係と彼らのプロフィール
・出資により友人、知人が受けるメリット
・出資した友人、知人は、会社に何を貢献できるのか事業協力者であること
・友人、知人が会社で役割を担う場合はその内容(役員など)
出資して自己資金があるように見せかけ、借入を受けられたらその後、友人や知人に返金する手口があります。
実際に、公庫は借入金の返済が滞ったときにフタを開けてみたら、出資金がそっくり友人や知人に返されていたという事例を多く目の当たりにしています。
公庫は過去の事例から学んでいるので、出資があるからといって手放しに自己資金とは認めません。
見せ金と疑われないよう、気を抜かないで積極的に説明してください。
もう一つ出資に見落としてはいけない注意点があります。
それは、会社を乗っ取られる可能性があることです。
出資とは、会社を共有することを意味します。
友人、知人の持ち分があなたの持ち分より多ければ、もはやその会社はあなたの会社ではなく、友人、知人の会社です。
この場合、意見の食い違いによりあなたは会社を追放されても文句は言えません。
会社を安定して経営するためには、3分の2以上の議決権を持っていることが望ましいです。
多額に出資してもらえるのは、資金的にはありがたいことですが、会社を支配するための議決権を失うことになります。
ですから出資を受け入れる場合は最小限にし、安易に増やすことは避けてください。
どうしても出資に頼らなければならないときは、ストックオプションを使う方法があります。
ストックオプションは、業績が上がったなどといった条件でそれに貢献した人に株式を安く買う権利を付与する制度です。
ストックオプション制度を使うには、あなたが大部分の株を持っているうちに、あなたが株式を安く買う権利を受けられるように決定しておきます。他からの出資の受け入れはその後にします。
こうすることで、友人、知人から多額の出資を受けたとしても、その後ストックオプションの権利を行使して、あなたの持ち株数を増やし過半数の議決権をキープすることができます。