3 創業、開業の借入金のコツ これだけ5対策

歩く群衆

ここまで読んで、創業期、開業期の借入金は大変だと思われたかもしれません。
でもそんなことはありません。

逆から返せば、実績が無くても貸してくれるところがあるのです。

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それが、
信用保証協会の保証付き融資
日本政策金融公庫
の2つです。

下手に業歴だけ長い会社よりも、よほど大きな借入金を得ることも実は可能です。
入り口さえ間違えなければ、むしろ創業期、開業期の借入金は難しくないのです。
肝心なのは、“入り口”です。

日本政策金融公庫、信用保証協会付の制度融資には確度を上げるためのコツがあります。
それは、
(1) 自己資金はできるだけ多く
(2) 創業、開業に関する経験のアピール
(3) 借入金の使い道を明確に説明
(4) オリジナルの創業計画書
(5) 資金繰り表

創業、開業の借入では、何の実績がない人にお金を貸すわけですから、融資実行率はなかなか厳しく、申込みに対して30%程度が融資の実行率と日本政策金融公庫や信用保証協会の担当者からヒアリングしています。
しかし、上の(1)から(5)のような対策を重点的に行うと、実感的には50%以上になる手応えはあります。

それではそれぞれのポイントを見てみましょう。

(1) 自己資金はできるだけ多く

 

借入金は自己資金に比例して多く借入ができます。 自己資金をより多く集めることが借入金を増やすためのコツの基本です。その方法は、「2-2 まずは自己資金を集める」で詳しく説明します。

 

(2) 創業、開業に関する経験や実績のアピール

 

創業、開業に関する経験が深いほど事業の成功確率は高くなります。
ノウハウや顧客の獲得方法を熟知しているわけですから当然です。

サラリーマン時代の経験や実績があれば、どんどんアピールしてください。
数字で説明しやすい営業成績、証拠が残る表彰、はもちろんのこと、サラリーマン時代の顧客から高い評価を受けていたエピソードといった抽象的なアピールでも良いです。

面談者を含めて審査する担当者は、あなたのことを全く知りません。 何をどれだけできそうなのか、見当もつかないのです。
できるだけ多くの情報を思いだして、アピールすれば借入は大きく前進すること間違いありません。

 

(3) 借入金の使い道を明確に説明

 

創業、開業での借入金を何に使うか、おそらく見積もっていることでしょう。
その見積もりの内訳があればそれ整理表としてまとめておきましょう。

ここで注意したいのは、創業、開業の借入金を、他に流用する疑いをかけられないようにすることです。
流用とは、別に持っている会社に転貸することや、個人的な借金の返済に充てるなど、本来の使い方と違うことに使うことです。

日本政策金融公庫、信用保証協会も、他からの借入状況はチェックしています。
カードローンがある場合には、その使用目的や返済について説明できるように準備して下さい。
別に会社があるなど流用を疑われる要素があるならば、その会社の資金繰り表で借入金による穴埋めは必要ないことをあわせて説明してください。

創業、開業の融資を扱う日本政策金融公庫や信用保証協会は過去の経験から、借入金の流用にはかなり警戒しており、疑い有りすれば理由なく融資を断りますから注意して下さい。

 

(4) オリジナルの創業計画書

 

日本政策金融公庫、信用保証協会のどちらも創業計画書は審査の対象となる必須資料です。
創業計画書の内容が不十分だったり説得力に欠ける場合には、自ら借入金を遠ざけているようなものです。

日本政策金融公庫は記入例をホームページで提供していますが、模範例では決してありません。
あまり難しく考えることはありませんが、少なくとも次の項目と内容を盛り込んでください。
・経営理念を書く
・対象となる顧客層が明確である。潜在顧客リストがあれば更に良い。
・マーケット分析があり、競合者との差別化ができている。特に価格競争力が優位であれば更に良い
・販売方法が具体的でかつ効果が見込めそうなこと
・収入と支出の計画に根拠があり、かつ返済が十分可能である

 

(5) 資金繰り表

 

資金繰り表は、借入金を返済できるかどうかを数字で示します。
日本政策金融公庫や信用保証協会であっても、確実に返済できる相手なら、積極的に貸したいのです。

 

創業、開業ですから返済確実とまでは言えませんが、少なくともちゃんと資金繰りを考えて計画を立てているだけでも、評価は上がります。
向こう3年分について、項目から考えた資金繰り表を作成し、説明できるようにして下さい。