ひととおり事業計画書が完成したら、あらためてさらに完成度を上げるための最終チェックをします。
チェックポイントは次の6項目です。
(1)文書ボリュームが多すぎないか
(2)わかりやすい表現になっているか
(3)アピールポイントは“立って”いるか
(4)パクリ対策はなされているか
(5)プレゼン練習をしたか
(6)第三者の目でチェックしてもらったか
(1)文書ボリュームが多すぎないか
説明文が長すぎて、途中で読む気が無くなったことはないですか?
長すぎる事業計画書は、それだけでわかりにくくなるものです。
読み手は趣味の雑誌を読むわけではありません。
事業計画書は社長が伝えたい情報が入っているならば、ボリュームは少ないほど良いです。
関連の薄い情報は、思い切ってバッサリ切り落としましょう。
時間でいうならば、10分程度でひととおりのポイントがつかめるボリュームが目安です。
伝えたい情報を入れると事業計画書のボリュームが増えすぎるなら、別紙や別冊にして分けて用意します。
(2)わかりやすい表現になっているか
事業計画書を銀行の担当者は、利益や資金繰りについては詳しくても、その業界に精通しているわけではありません。業界の人から見たら素人です。
どんな人でも理解できないものには賛同しません。ましてやお金は出しません。
わかりにくい事業計画書で損をするのは社長です。
ですから事業計画書は、素人が見ても事業の流れがよくわかり、ビジネスとして有望と思えるものでなければなりません。
どの業界にもその業界でしか通じない専門用語がありますが、専門用語は一般に通じる用語に置き換えて下さい。どうしてもキーになる専門用語は注釈を付けてください。
(3)アピールポイントは“立って”いるか
事業計画書の中で伝えたいことは、事業が有望であることを示す情報です。
今までにない画期的な商品を開発できた、市場が急拡大している、など伝えたい情報が事業計画書から一見して伝わるように工夫してください。
アピールポイントは一つではない場合は、優先順位を決めて、最も強調したいアピールポイントの比重を大きくし、他のアピールポイントはこれに関連付けるようにしてまとめます。
事業計画書の中でアピールポイントの強弱がしっかりつけられていると、読み手も意図をつかみやすくなり、事業への理解が早くなります。
(4)パクリ対策はなされているか
事業として成果が上げれば、すぐにパクる者が現れます。
製品に独創性があるならば、特許、実用新案を取ることを検討しましょう。
特許、実用新案を取得できそうかどうか、取得するためにはどうしたら良いかなど、無料のアドバイスを行っている自治体もありますから利用してみるのも良いでしょう。
特許、実用新案以外には、著作権、ネーミングやデザインなどが商標や意匠といった権利があります。
逆に、オリジナルだと思って始めた事業が、他人の権利を侵害している場合があります。
事業開始後に訴えられると、事業化の費用が全て水の泡となるリスクがあります。
権利が関わる事業の場合は、事前にチェックをしておきしょう。
(5)プレゼン練習をしたか
借入は事業を銀行に売り込むものです。
ですから、事業計画書を出したら終わりではなく、プレゼンがあると考えてください。
月並みな事業計画でも、自信たっぷりのプレゼンで難なく融資が下りた、ことはよくあることです。模型やパワーポイントを使えるなら用意しておくと、プレゼンの質があがります。
次の点に注意して何度も練習すると良いでしょう。
・論理的かつわかりやすく話す
・何人かの前で練習する
・Q&Aを用意する
少なくとも人前で3回は練習してください。
人前で練習することで、どの部分によく反応するのかわかりますし、自分では気づかなかった質問をしてくるので、Q&Aの準備にもなります。
プレゼンではQ&Aがあるものと思って下さい。
プレゼンで答えに詰まることはあっても、逃げたり、怒ったり、議論するのはもってのほかです。
Q&Aがあると急に質問されても慌てず冷静に答えられます。
用意していない質問がありすぐに答えられない場合には、時間の猶予をもらい後で回答します。その場つなぎの適当な返答はしてはいけません。
(6)第三者の目でチェックしてもらったか
完成した事業計画書は、複数の目でチェックしてもらうことで、より完成度が高くなります。
チェックは、業界に詳しい人、まったくの素人、財務の専門家、など違うタイプの人にそれぞれ見てもらうのがベストです。
立場が違うと、記載のミスや抜け、論理の矛盾、理屈が合わない、難解すぎるなどいろいろな指摘や意見、質問が出ます。これらの指摘や意見、質問については、後で取りまとめて自分なりに充分理解してから、事業計画書に変更を加えます。