3 販売プロセス、販売促進

商品やサービスが良くて、それを求める顧客がいるならば、あとは結び付けるだけです。
しかし、顧客は必ずしも自身がどのような商品やサービスニーズを持っているのか知りません。

例えば、生活関連の商品ならば、あなたの商品を使うことでより豊かで心地よい生活をおくれることを知ってもらえれば、顧客は自分のニーズに気づき購入してくれます。
販売プロセスを明快にし、具体的な販売促進方法をもって顧客に働きかければ、事業計画の目標達成がより確かになります。
(1)流通・販売経路のビジュアル化
(2)費用対効果の高い販売促進、顧客アプローチ
(3)価格戦略
(4)セールスポイント

 

(1)流通・販売経路のビジュアル化

商品やサービスで利用する仕入先や外注会社を定めて、これをどのように顧客に提供し売上を得るのか、ビジネスフローを書いてビジュアル化します。
ポイントは次のとおりです。
・相手先は、他の事業者(卸売)または消費者(小売り)のどちらをメインにするか
・販売方法は、店頭やインターネットなどどのような方法を使うか

ビジネスフローには商品やサービスの流れとともにお金の流れも書き込みます。
「商品やサービスのしくみは複雑じゃないから」
と思っても、省略せずにフローにしてください。
初めてビジネスの話を聞く相手が、一目でわかることは、あなたにとって有利になります。

 

(2)費用対効果の高い販売促進、顧客アプロー
資金力が弱い中小企業は、大掛かりな広告宣伝を打って空振りすれば、一発退場です。
費用がかからずに効果がある方法で販売促進をスタートするしかありません。

口コミはインターネット社会では最も効果的で、費用対効果も高い販促方法ですから重点的に取り組むべき方法です。インターネット社会は他メディアと比べてフラットですから、大企業と中小企業の格差は少なく、中小企業にもチャンスは十分にあります。
ただし口コミは、商品やサービスのリリース後、評価が安定してからでなければ発信できないので、リリース前には別の方法で販促する必要があります。

中小企業に適した費用対効果も高い販売促進方法としては、街頭でのチラシ配布やポスティング、ミニコミ誌やフリーペーパーへ出稿、ポイントサイトへの登録といった方法がお勧めです
ユニークな商品なサービスであれば、プレスリリースも有望です。
やや単価が高い商品やサービスであれば、DM、テレフォンマーケティングも良いでしょう。

飲食店であれば、看板メニューを作り、フェースブックやツイッターで情報発信してもらう方法で成功しているケースもあります。ポケモンGOの課金アイテムを揃えて集客の目玉にするなど、新しいものをいち早く取り入れること自体がニュースとなり得えます。
販売促進の方法は、あの手この手でいろいろな方法を試して、その中で反応の良いものを増やしていけばよいでしょう。

 

(3)価格戦略

価格は、商品やサービスと同等に重要な要素です。
中小企業が提供する商品やサービスでは、「他より価格が安い」ことが条件です。
とはいえ社会はそんなに単純ではありません。

当社は原宿からも近いですが、原宿では2千円のパンケーキに1時間以上の行列ができています。実際には、ユニークであれば高くてもそれを求めてくる顧客はいます。
しかし、リリース前にユニークさを銀行の担当者に訴えてもなかなか伝わりにくくもあります。

借入のための事業計画書では、「他社より安い」設定にしてください。
借入を審査する銀行は、低価格で商品やサービスを提供しても耐えられるかもチェックしているからです。

 

(4)セールスポイント

商品やサービスをリリースするのは、売れると考えた理由があるからではないでしょうか?
なぜ売れると考えたのか、それをできる限り客観的に書いていきましょう。

とある整形外科の新規開業のケースです。
整形外科には珍しいMRI磁気共鳴画像処理装置を導入するにあたって、
「1クリニックが億を超える投資をして回収できるのか」
と、悩みに悩みました。

しかし、その市域にはMRIを持つ病院がないことがわかっていたため、思い切って導入に踏み切りました。
結果は、MRIが目玉となり新規開業早々から患者さんに広く認知され、新規開業3ヵ月で単純黒字化し、億超えの投資額も5年以内に返済できる見通しです。
このように、「近隣では、他にない」というものでもセールスポイントになるのです。