2 貸借対照表の着目ポイント 

借入金イメージ赤鉛筆とチェック

それでは決算書のうち貸借対照表を見ていきましょう。

貸借対照表も、確定申告の書類の中に入っていますから、手許に用意してください。

借入金イメージ赤鉛筆とチェック

貸借対照表では、正味の資産と借入負担を中心に見ます。
それぞれ、次が着目ポイントです。

  • 純資産の部は、マイナスではないこと。累積損失がなければより良い。
  • 商品、製品、売掛金の残高は、同業種同規模の類似会社と比較して適正額であること。
  • 借入金の残高は、過剰ではないこと。

それではそれぞれチェックして下さい。

貸借対照表の着目ポイント
科目等 説明 問題の対処方法
純資産の部 マイナスは債務超過、つまり理屈では、資産を全て処分しても債務を返せないことを意味します。 返せない会社には銀行は融資できません。 含み益のある資産があればアピールします。 また経営計画を作成し粘り強く説明して下さい。
純資産の部 全体としてはプラスでも、内訳にマイナス表示があると、収益力が弱いとイメージされ評価は低くなります。 長期的には黒字であることの根拠と解消時期とを示して説明します。
商品、製品 実態は赤字なのに期末在庫を過大にして黒字化に仮装する会社は多いです。売上の割に在庫が多いと粉飾と怪しまれます。 在庫が多い理由は積極的に説明して下さい。(例)来期早々キャンペーン販売が有る。など
売掛金 架空売上は安易にできる粉飾方法ですが、入金されることは無いので、返済能力はどんどん落ちていきます。 売上に対して売掛金の増え方が多いと、粉飾決算を疑われます。 売掛金の残高が増えた理由を積極的に説明して下さい。(例)得意先から支払いサイトの見直しを求められ、やむを得ず承諾した。など
借入金 適正といわれる一般的な目安は、月売上の3ヵ月分ですが、業種により大きく違います。 同業種の他社と比較して借り過ぎであれば、審査すら進めてもらえないことがあります。 事業の特徴を資金繰り表にあてはめて、返済に問題がないことを説明して下さい。特に新規分野に進出するときは重要です。

 

銀行は、審査に通らなかった理由を基本的に教えてくれません。
ですから、例えば、商品在庫や売掛金の操作により黒字化していると銀行が誤解して借入ができなかった、という悲劇も起こり得ます。
あらぬ疑いをかけられないためには、社長が積極的に進んで説明するしかありません。

借入金については、卸売業は3ヵ月分が適正といえますが、これ以外の業種は一概には言えません。
製造業であれば使う装置によっては、10年以上分の借入が必要になります。
単純に一つの業種に当てはめられると、「借り過ぎ」のレッテルを張られる恐れがあります。
具体的な事業を上げてきちんと返済ができることを資金繰り表を使って説明して下さい。

「1-4-2 貸借対照表の着目ポイント」、「1-4-1 損益計算書の着目ポイント」
ともに問題が無ければ、自信をもって銀行の担当者に借入を申し込んでください。

もし問題が見つかってもあきらめないで下さい。挽回できるチャンスはあります。
「1-5 好まれる決算書作り」に進んでください。

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